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 力に見合ったギアを使用する 

近年完成状態で販売されているロードレーサーのギアは、フロント側に50/36or34T、リア側 に12-25Tのスプロケットが組み合わされていることが多くなっています。

また、50/36or34Tのギア板が装着できるクランクは「コンパクトドライブ」と呼ばれ、パワー の無いライダー向きだと言われていますが果たしてそうなのでしょうか。

ここで、ちょっと計算をしてみましょう。

フロント側は50Tのギア板(アウター)を使用して、リア側は一番ロスが少ない4段目の15Tのス プロケットを使用します(10Sの場合チェーンが
直線に近い状態※1で使用できるため)
クランク回転数は効率が良いとされる毎分90回転(rpm)として、タイヤのサイズを殆どのロード レーサーに装着されている700×23C(周長2.096m)とすると

50T÷15T×2.096m×(90rpm÷60s)=10.48m/s=37.7km/h

となり、ほぼ時速38kmで走ることになります。

平坦路単独で時速38kmを維持して走れるライダーをパワーの無いライダーと言えるでしょうか 。

パワーの無いライダーの現実的な巡航速度 、時速 30kmから計算してみましょう。

30km/h=8.33m/s

8.33m/s÷2.096m÷(50T÷15T)×60s=71.53rpm

50T÷(8.33m/s÷2.096m÷90rpm×60s)=18.87T


使用するギアを変えなければクランク回転数が低下して、およそ72rpmで走行することになり脚 に負担がかかります。

クランク回転数を変えないで走る為には、使用するギアを変更する必要があります。

19Tのスプロケットを選択することになります。
10sで12-25Tのスプロケットの場合、 19Tはトップから7段目のスプロケットになります。

平坦路を巡航時に常用できるスプロケットは、フロント側の50Tのギア板(アウター)を使用する場合にチェーンの曲がりが許容できる、トップから8段目のスプロケットである21Tと19Tの2 段だけになってしまいます。


上の計算結果からわかるように、巡航速度が時速30kmのライダーが10sで12-25Tのスプロケットを使用する場合、なるべく有効にスプロケットを活用するためにフロント側の50Tのギア板( アウター)を変更して歯数を減らし、トップ側のスプロケットを常用できるようにするのが望 ましいのです。

では、どの程度の歯数のギア板に変更すれば良いのか計算してみましょう。

速度30km/h、クランク回転数90rpm、後側のスプロケット14Tを使用すると

(8.33m/s÷2.096m÷90rpm×60s)×14T=37.09T

37Tのギア板に変更すれば良いとの計算結果ですが、実際には37Tのアウター用ギア板は販売さ れていないため変更できません。

変更可能なギア板の歯数になるように、クランク回転数は変更せずに、ギア板の歯数を変更して計算し直します。

走行速度30km/h、クランク回転数 90rpm、コンパクトドライブ用のアウターギア板44Tとすると

44T÷(8.33m/s÷2.096m÷90rpm×60s)=16.61T

となり、16Tか17Tのスプロケットを使用することになります。

シマノからジュニア用10sスプロケットが、14-25T等の構成で用意されています。

14-25Tの構成のスプロケットの場合、16Tならトップから3段目17Tならトップから4段目にセットされているので、チェーンが直線に近いロスの少ない状態で使用できるだけでなく、44Tのギア板(アウター)と常用できるスプロケットの枚数がトップから8段目までの6段又は5段使えることになり選択の幅が広がります。


以上は、平地での巡航時の使用ギアを計算から求めたひとつの例ですが、ギアを変更すること は坂を登るときの脚の負担を減らすためにも有効な手段です


傾斜のきつい坂を登るときに、装着している最小のギア比を使用してもクランク回転数が低下し過ぎて身体各部の筋肉や関節に負担がかかり過ぎている場合は、前後のギアを変更してより低いギア比を使用できるようにすることが望ましいのです。

コンパクトドライブのクランクの場合、装着されているインナーギア板が、36Tの場合は装着可能 な最小歯数のギア板である34Tに変更します。
リア側のスプロケットがシマノ規格の10sで12-25Tの構成でしたら、現在入手できるロード用の10sスプロケットで、最大歯数の構成である12-28Tに変更します。
12-28Tの構成のスプロケットに変更すると、巡航速度が時速30kmのライダーの場合、フロント側 の50Tのギア板を使用するときに常用できるリア側のスプロケットが3段になるというメリットが出て来ますが、スプロケットの一段ごと歯数差が大きくなり使いづらく感じる場合もあります。

スプロケットの一段ごとの歯数差を少なくしながら使用できるギア比の幅を大きくするために、フロント側のギア板を2枚から3枚に変更する方法があります。
クランクとフロント側の変速機、コントロールレバーを変更する必要がありますが、使用できるギア比の幅をかなり大きくできるので変更する価値は十分にあります。特に最小ギア比を低くしたい方にはお勧めです。


最後に、フロント側のギア板が2枚でリア側のスプロケットがシマノ規格の10sの場合、平地を時速30kmで巡航するライダーが可能な限り低いギア比と、平地を巡航する場合に都合のよいギア構成にするにはどうしたら良いかを検討してみましょう。

前に計算した通り、フロント側のギア板を44Tとするとリア側のスプロケットは16Tか17Tを使用することになり、14-25Tの構成のスプロケットとの組み合わせを紹介しています。

今回は可能な限り低いギア比との両立を考える必要がありますから、先ず入手可能なリア側の スプロケットを検討してみましょう。

シマノ規格のロード用10sのスプロケットで最大の歯数は12-28Tの構成のものですが、巡航時に 17Tのスプロケットを使用するとトップ側から5段目を使用することになり、一段ごとの歯数差 が大きくなり使いづらいことが考えられます。

そこで、今回は一枚ごとの歯数差が少なく大きな歯数の16-27Tの構成のスプロケットを使用す ることにします。巡航時はトップ側から4段目である19Tのスプロケットを使用することにする と

44T÷17T=2.588×19T=49.17T

となり、49Tのギア板は入手できないので50Tのギア板を使用することになります。

結果として、フロント側のギア板が50T/34Tの構成の場合はギア板を変更する必要は無く、リア 側のスプロケットを16-27Tの構成に変更することで常用できるスプロケットが増えて一段ごと の歯数差が少なくなり、ロード用としては最小に近いギア比が得られることになります。


注)
ここに挙げた14-25Tや16-27Tの構成のジュニア用と呼ばれるスプロケットは、トップの スプロケットの直径が大きくなるためにフレームの内側とスプロケットやチェーンが干渉して装着できない場合があります。
ジュニア用のスプロケットに交換する場合には、事前にフレームの内側の寸法を確認してトップのスプロケットやチェーンがフレームと干渉しないことを確認してください。


ギアなどの仕様変更は、当店でも承っております。
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◆記号の解説◆

T=歯数
歯の数が50個あるギア板の場合「50Tのギア板」と表記されます。
本文中では、ギアやスプロケットの説明文に50Tや26Tのように表記されています。
S=スプロケットの枚数
「10Sのスプロケット」=「10枚のスプロケット」=「10段変速用のスプロケット」という ことになります。
本文中では、スプロケットの説明文に10S のように表記されています。
C=フランスの規格によりリムに付けられている記号
700サイズ用リムの場合、ビード直径(タイヤを引掛ける部分の直径)が622mmのリムを 表しています。
日本国内では、現在700 サイズのタイヤは「C」のものしか流通していませんが、規格と しては「A」、「B」もあります。
本文中では、タイヤの説明文に700×23C のように表記されています。

※1 チェーンが直線に近い状態とは
ロードレーサーに使用されている変速機では、クランクと車輪に複数枚のギアが取り付けられていてチェーンを掛け替えることで必要なギア比を選択する方法が用いられています(外装式変速機)。
このため、前後のギアの組み合わせによりチェーンに曲がりが生じます。
チェーンが大きく曲がると抵抗が増えて力の伝達効率が悪くなりますし、ギアやチェーンに負担がかかり消耗しやすくなります。

左側の画像が直線に近い状態です。

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Apr. 18, 2012